メッセージリレー ♯9『わらべうたの先生 前田和子さん』

メッセージ

メッセージリレー第9回目は、わらべうたの伝承や金工の先生をされているカコさんこと前田和子さんです。みらいのこども舎では、月に1度、わらべうたの時間を担当してくださいます。美しくしなやかな声色と温かい眼差しに触れるだけで、心がほっとし、素直にまあるく生きていく…そんな感覚を教えてくださるお方です。

カコさんとわらべうたの出会いから、未来へのメッセージまで…ご一読ください。

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心細かった時間を守ってくれた「わらべうた」

はじめまして。日本語の響きの世界と、北海道で魅了された金工の世界に住んでいます。わらべうた伝承研究会「おのみちわらべ」を主宰しながら、子育て支援センターや学校等へわらべうたを伝えに回ったり、広島県内や国内各地へ学びに通ったり、大好きなわらべうたを深める日々です。ことばとこうげいの融合を目指しています。

もともとは北海道で7年アナウンサーをしていたのですが、重い心臓の病を持つ母と最期の時をもつため、そして金属工芸の学校に入るため、退職して関東で結婚しました。 赤ちゃんが生まれた時には母はすでに他界、夫も出張がちな中、ぽつん、と心細かった時間を守ってくれたのは、近所の助産師さんと「わらべうた」でした。 当時70歳くらいのおばあちゃん先生からの影響で自然育児サークルの仲間たちとわらべうた遊びをしながら親子共々育ちました。

娘の命がこの世に降り立った時に感じたことは、

「預かった尊い命。この子の意志を聴いていこう」

ということ。

わらべうたはそんな想いと重なり合う世界でした。

ある育児サークルで大音量のCDの音をとても怖がった娘が、まぁるくなって人の声で遊ぶわらべうたに出会った時のほっとした笑顔が、わらべうたの良さを確信した原点です。その娘が1歳の時、アナウンサーの仕事現場復帰の話があったのですが、そのためにおっぱいをやめるのを本能が許さなかったんです。そしてその時、私の本当の気持ちが選びとったのが、近所の子育て支援施設でわらべうたあそびを伝えるのに声を使うことでした。大学時代には子供の発達とコミュニケーションについても学んでいましたから、目の前に赤ちゃんが登場して、その学びがストンストンと体感として腑に落ちていったのですね。夫の故郷の広島にUターンして尾道に住んでからも、娘や息子や仲間と一緒にわらべうた遊びで素晴らしい出会いを重ねて15年の母ちゃん人生です。 もしかしたら私はわらべうたのために発声・発音・聴く・書く・伝える―をアナウンサーとして訓練したのかも?とも思ってしまうくらいわらべうた漬けな今日この頃です。

「わらべうたは“いきもの”」

みらいのこども舎では、月に一度、わらべうたあそびをします。人の営みから自然発生した「わらべうたは“いきもの”」です。人から人へ、声の波動や繋いだ手のぬくもりが、伝えてきてくれた人々の歴史と共に身体に入っていくよう。磨き抜かれた“うた”と“ことば”の結晶のようです。その日のムード、季節、心の声、身体がどう動きたいか…本能的に遊ぶわらべうたの世界を通して、小さな人々と遊べる時間が本当に楽しみです。まぁるくなる、感じる、その間隔、ひととひととの距離、ひとと世界との関係、収縮する、拡散する、ひっくり返る、膿を出す…こころ丸ごと、からだ丸ごと、いっしょに遊びましょうね。

ようちえん部 青山路巳さんとの出会い

5年ほど前でしたでしょうか。おのみちわらべの会に一度来てくださって、「かこさん、自然農のこと、もっと知りたいんです。」と声をかけてくださったのが 路巳さんとの出会いでした。広い世界に育まれてきた、その美しい瞳のインパクトが忘れられなくて。あれよあれよという間に青山さん一家は向島に移住、路巳さんはお料理も英語も教えてくれる先生に。日々の暮らし、世界とつながる暮らし、向島が活気づきました。

むかいしまseedsを立ちあげ、子育て支援センターを立ち上げ、そして、みらいのこども舎!その想いの力に驚きながらいます。それぞれの角度で繋がって…共通の思いはこどもたちのみらい。人も自然も豊かな環境で、それぞれが自分らしい未来を選び取り、キラキラ輝くことを願っています。

こどもたちの世界を取り巻く大人の在り方…一体どこを向いていますか?

わらべうたを深めながら今強く思うのは、こどもたちの世界を取り巻く大人の在り方。娘や息子が通う学校にも時々問いかけます。一体どこを向いていますか。時折自分にも問いかけます。こどもたちと一緒に学び合う、育ちあう。語りかけの眼差しやひとことひとこと、傾ける耳、信じるこころに、真実の愛が宿るように。 金工の仕事柄、私はよく糸鋸を引くのですが、“こうしてやろう”とする意識ばかりだと歯は折れてしまいます。糸鋸の細い歯にも向かいたい方向があり、確かな意志が宿っている。そことの対話。違うことに気がそれ、邪念が宿った瞬間も折れます。心がぽきっとなるように。

想い描くことをしっかり支える手があり、それに向かう「気」がきちんと保たれ, 通わせることが出来ると、作品にあたたかな命が宿るんです。この「気」を保つ感覚を大切に,、一瞬一瞬を生きる小さな命を包み支え、応援できる集団であれたら、と願っています。

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